日時:2012年3月10日(土)14:00~17:00
定員:200名
締め切り:2012年2月27日(金)
受講料:無料
会場:北海道経済センター(8階Aホール)
『がん治療を支える歯科の役割』 ~がん支持療法としての歯科治療・口腔ケア~ |
太田洋二郎先生(歯科医師) 静岡県立静岡がんセンター 歯科口腔外科部長
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『看護師ががん患者に行う口腔ケアの現状』 |
佐々木由紀子先生(緩和ケア認定看護師) 国立病院機構北海道がんセンター 副看護師長
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―佐々木由紀子先生からの回答―
Q1「意識レベルが低下していて嫌がる場合結局どうすることがいいのでしょうか?」
出来る範囲でやるしかないと思います。ただ、看護師の姿勢として、「この患者はどうせ嫌がるからやらない」と一切手を出さないのではなく、ホットタオルで口元を蒸らしマッサージをするとか、口唇に保湿剤をつけて口唇のマッサージをするとか、少しでも口元のケアをして「気持ちいい」と感じてもらえるケアをし続けることが必要です。そうして、口を触られても苦痛じゃないんだと理解がしてもらえれば、少しずつ口元の力が緩むかも知れません。
また、
「口の中を触れられて痛いのではないか?痛い原因はないか?」
「過去に無理矢理口腔ケアをされて(嫌な思いをして)それ以来嫌悪感を持っていないか?」
など、「なぜ嫌がるのか?」を考えることも必要です。
Q2 「スポンジブラシを使った口腔ケアで水ではなく希釈したネオステやお茶を使っているのを見たことがあります。お茶での口腔ケアは水と違って何か効果がありますか?また、ネオステは刺激が強くないでしょうか?他に口腔ケアの際に良い薬液がありましたら教えてください。」
・お茶に含まれるカテキンが「抗菌作用を示す」、「口臭予防になる」と言われています。
・ ネオステは当院では使用していないので、実際の患者さんの反応として確認できていません。口臭対策にと使用される方が多いと聞いています。もし、刺激が強 いようでしたら少し薄めて使ってみてはどうでしょうか?。また、もしまだでしたらご自身でも試されてみることもおすすめします。
・口腔ケアに良い薬液は、口腔内の状態にもよると思いますが、基本的には水道水でOKです。口腔内に何らかのトラブルがあって、水道水でしみるような場合は生理食塩水(あるいは同濃度の塩水《水500ml+塩小さじ約1杯 4.5g》)を使用すると、痛みか感じず使用できることが多いです。
・通常の口腔ケアでイソジンを使うことがあります、刺激が強く使用感も良くないので個人的には最近は選択していません。
―大田洋二郎先生からの回答―
Q1 「扁平苔癬など口腔粘膜と炎症がある場合に院内処方でカムリードを溶かした(滅菌精製水)ものを「カムリード含嗽薬」として含嗽してもらっています。しか し今年の四月ごろにカムリード製剤が発売中止になることになっています。代わりに使用できる含嗽剤があれば教えてください。」
私はこの胃潰瘍の薬を含嗽薬として使ったことがありません。医中誌では北海道の施設で使っており、発表が3つほどでています。代わりに使用する薬剤は論文でいくつかありますが、エビデンスが確立した薬品はないようです。欧米では、マーロックス、アルサルミンなどで含嗽している論文もあります。
Q2「全身麻酔時のオリエンテーションで挿管による歯科受診をすすめていますが同様にがん患者様にもすすめた方がよいか。」
口腔ケアで術後肺炎や、創部感染の予防が期待できるがん手術治療(頭頸部癌、食道癌等)では進めた方が良いと考えます。
Q3「感染源の除去についてですが気を付けていることや基準にしていることを教えてください。
私は
1.歯石除去、口腔清掃状態の向上
2.要抜歯部位の抜歯
3.症状が出そうなカリエスの麻酔抜髄
4.根管治療必要歯の根管治療
という基準で治療していますが、ほかに気を付けることがありましたら教えてください。」
1、2については優先するのは同じ考えです。
3,4については、化学療法が開始してからでも行える場合(いそがない場合)は、治療開始後タイミングを見て行います。
Q4「一連の医療においてMSWに求めるもの、また、期待するものがございましたらご教示ください。」
がん治療を受ける患者で、歯科治療が必要な場合に、歯科医師会ががん拠点病院と連携して行く体制作りを始めていることを理解し手、地域と病院を繋ぐ役割を担って欲しいと思います。
Q6「NCI-CIC Ver3とVer4では、Gradeの分類が変わっていると思いますがVer4で評価すると実際の症状と少し異なってくると思うのですがいかがですか?」
評価の項目、見方が異なりますので、当然グレードの値も変わります。此はVer3が非常に誤差が多かったので、シンプルなVer4になったと理解しています。
Q7「疼痛コントロールで食前の含嗽は何秒くらい口に含むものでしょうか?食中にも行うのでしょうか?」
2,30秒から1分くらいです。食中はおこないません。
Q8「口腔ケアを行うときに歯肉に触れないようにブラッシングを行うとありましたが歯頚部にプラークは残らないでしょうか?」
歯肉には触れてかまいません。そこには粘膜炎はできないからです。そのように講義の時にコメントした記憶はないのですが、そうであれば訂正しておきます。歯、歯肉は粘膜炎ができないので、歯ブラシで歯磨きをすることが可能です。